平成21年(2009年)に会社のエッセイとして載せた文章です。(一部手直ししました)
故郷について書いたものですが、特に故郷を強く思い出させてくれた曲を紹介したいと思って転載しました。
駄文ですが、よろしければ目を通していただけると嬉しいです。

「故郷を想う」
 ふるさとといえば、「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しく歌ふもの・・・」と詠った、室生犀星の詩が思い浮ぶ。詩のような切羽詰まった思いはないものの、私にも生まれ故郷であるこの長野県佐久に、少なからず思い入れがある。高校卒業後、学生、社会人と、20年超の長きにわたって、ふるさとを離れていたせいかもしれない。学生時代は東京で暮らし、就職後は奈良、大阪そして名古屋、三重県四日市から神戸さらには九州熊本を経て、また大阪とまさに各地転々としてきた。
 遠き地で暮らしていても、ふるさとの風景と子供の頃の思い出は、いつも胸の中に鮮やかによみがえっていた。九州熊本の阿蘇の山々は確かに雄大で美しかったが、私の心の中にある浅間山の雄姿や八ヶ岳の峰々には敵わなかった。京都の祇園祭りは、確かに壮大で美しかったが、子供の頃に手作りの神輿を担ぎ、屋台(山車)を引いたりした、心の中にある地元野沢の祇園祭りには敵わなかった。いつも7月の頃になると、屋台から流れる太鼓や三味線、笛の音色が耳元でこだまし、ふるさとへの郷愁を新たにしていた。
 正月とお盆の年2回ぐらいは、ふるさとに戻って来ては、年々、いつかは戻ってきたいと強く願うようになった。妻が同郷であったことや家を地元に建てたこともあって、6年前に幸いにして故郷に帰ることができた。今、しみじみと帰れてよかったと感じている。振り返ってみると、ふるさとへの思いを強くしてくれた歌があったことを思い出した。それは、「思えば遠くへ来たもんだ」(海援隊)と「花咲く旅路」(原由子)。前者を聴くたびに同じ感慨を抱き、後者を聴くたびに穏やかなふるさとの情景が目に浮かんだ。この曲達は、失われつつある日本の風情やふるさとを感じさせてくれる数少ない名曲だと思う。帰ってこれてよかったという思いを抱きつつ、今でもときどき聴いている。
 今、もう一度声に出して言いたい。「ふるさとって、なんていいんだ」と。そしてこの素晴らしい環境で暮らしていけることに今改めて感謝したいと思う。

海援隊 「思えば遠くにきたもんだ」



 

原 由子 「花咲く旅路」のカバーですが・・・






夏川りみさんのカバーです